学生さんとその親御さんにとって、高校入試はひとつの大きな節目です。高校入試制度は魅力ある教育内容に向け全国的に多様化しており、一方で最新情報を入手し把握するのは容易なことではありません。
この記事では、一般的な全国の高校入試制度の仕組みからさらに大阪府の制度についてまで紹介していきます。実り多く将来の夢に近づけるよう、情報を収集し、一歩ずつ進めていきましょう。
高校入試制度の仕組みは大きく3種類
全国的に高校入試制度の仕組みは、公立の一般入試、私立の一般入試、及び、公立・私立が設定する推薦入試の3つに区分できます。基本的に、公立高校の一般入試は自治体が決めており、私立高校の入試は各高校で設定されています。
それぞれの仕組みについて説明していきます。
公立高校の一般入試について
公立高校の一般入試は、主に都道府県ごとに定められており、高校やその学科・コースによって配点や内申点の加味が決められている場合もあります。
地域によっては、前期・後期で分かれており、前期で志望校に受からなくても、後期日程で再受験ができたり、第二志望の高校へ受験が可能で、以前は大阪府でも同様でした。しかし、大阪府公立高校の一般入試は2016年度以降に新入試制度を導入し、特別選抜と一般選抜に分けられ同一校の複数受験は不可となり、実質公立高校への受験の機会は1回限りとなります。
大阪府の公立高校入試制度の特徴
大阪府は自治体として、高校の普通科の特色・魅力づくりを推進しており、普通科目を主体としながら、国際理解、芸術、情報等の専門科目を幅広く選択できる普通科総合選択制高校の設置を推進しています。
公立高校の一般入試制度は、「一般選抜」と「特別選抜」に分かれています。募集人数の割合は、一般選抜が約91%、特別選抜が9%であり、一般選抜での受験が大多数です。また、複数学科を有する同一校内であれば他学科への出願が可能ですが、同一校の受験は原則1回のみとなります。
調査書と自己申告書
大阪府の公立高校を受験する場合、一般選抜・特別選抜共に、調査書と自己申告書の提出が必要です。調査書は、内申点とも呼ばれます。内申点と学力検査の比重は各高校により選択されます。
内申点は、絶対評価5段階で、評価対象が中学の1~3年生、9科目(英語、数学、国語、理科、社会、音楽、美術、保健体育、技術・家庭)の評価を全教科同等で評価します。内申点を計算する際に、3年生の点数が3倍で計算されており、1,2年生に比べ3年生の成績の比重が大きいため、最後まで力を抜かず学業に臨みましょう。
自己申告書は、あらかじめテーマが印刷されたA4判のフォーマットです。指定されたテーマに基づき、受験生本人が直筆で記入します。文字の大きさにもよりますが、実際記載する文字数は1,300~1,400字で程度です。
自己申告書の内容は、例年10月中旬に大阪府教育委員会から発表される「大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」で一般公開され、フォーマットがダウンロードできます。
調査書の中の項目である「活動/行動の記録」欄、および、自己申告書は、ボーダーゾーンの方の合否判定に使用されます。ボーダーゾーンとは、公立高校受験時の総合点数において募集人数の90~110%範囲にあたる受験生をさします。
総合点数が上位90%の受験生が合格範囲となりますが、90~110%範囲にあたるボーダーゾーンでは、各公立高校が定めるアドミッションポリシー(求める生徒像)に照らし合わせ合否が決まります。つまり、ボーダーゾーンにいる学生は、総合点数が負けていたとしても逆転で合格できる可能性があるのです。
そのため、自己申告書についても余裕を持って取り組んでおくとよいでしょう。
学力検査試験問題は原則5教科
問題が出題される範囲は、原則5教科(国語・社会・数学・理科・英語)です。同一校内・同一選抜では全学科共通で実施され、国語・数学・英語の問題については各高校で事前に問題を指定し、その問題が出題されます。
なお、出題される問題形式の難易度は特別選抜では一般選抜では3種類(A基礎的問題・B標準的問題・C発展的問題)、特選選抜では2種類(A基礎的問題・B標準問題)から各高校にて設定します。
一般選抜と特別選抜について
特別選抜を受験する生徒は、募集人数全体の約9%と一般選抜に比べ多くはありません。特別選抜は、学力検査に加え、体育や音楽など実技検査や面接があります。また、試験も一般選抜より早い2月中旬から下旬に実施されます。
一般選抜、特別選抜、共に大阪府教育委員会の「公立高等学校入学者選抜」ページから数年分の過去の試験問題が閲覧可能です。とくに、特別選抜の受験を検討される方は、試験時期も一般選抜に比べ若干早く、実技検査の内容は学科に応じて設定されているため、可能な限り早めに確認しておきましょう。
私立高校の一般入試について
私立高校は、各高校により決められた試験方式で実施されるため、形式や評価試験方法を確認しておく必要があります。全国的にも公立高校の入試制度とは異なりますので、注意しましょう。
大阪府の私立高校入試制度の特徴
大阪府における私立高校の一般入試は、1月下旬から出願を開始し、2月に試験・合格発表と公立高校の入試より前に結果が出るのが一般的です。また、試験科目や受験方法を選択できます。
試験科目は、得意科目に絞って行きたい高校を探すことができる3教科、または、公立高校と同じく5教科で受験する高校が増えてきています。
また、受験方法には「専願」と「併願」の2つがあります。専願で受験は合格後に入学することを約束することになり、私立高校合格後ほかの高校は受験できません。一方で、併願で受験した場合、合格後も公立高校入試などほかの結果を待ってから進学を判断できます。第一志望が公立高校の場合には、併願で受験することを検討しましょう。
私立高校は、学び方も多様です。通信制の課程を設けている学校もあり、通学コースやオンライン学習コースなど多様な学び方で、生徒が自分に合ったスタイルを選択することが可能になっています。時代のニーズとも合い、大阪府では通信制の過程を選択する生徒も近年増えています。
推薦(公立・私立)入試について
全国的に、推薦入試としての制度はありますが、基準が各校で定められており統一されていないため内容もさまざまです。また、学科、コースなどで異なる場合もあるので注意が必要です。推薦入試の基準は、内申点の数値や出席情報、調査書の内容などがあります。
また、試験科目は基本的に学力試験が課されないことやその代わりに、自己PR書、面接、小論文などでの試験が多いのも特徴のひとつです。一般入試への影響が生じにくいよう、時期をずらし基本的に推薦入試は一般入試より先に実施されます。
一方で、自治体によっては、推薦入試を廃止しているところもあり、すべての高校で推薦入試が実施されているわけではありません。
まとめ
全国の高校入試制度の基本的な仕組みと、その中でも特に大阪府の入試方式を詳しく解説しました。高校入試制度は、各自治体や公立高校と私立高校どちらを希望するかなどにより入試制度は異なるため、しっかりとした理解することが非常に重要です。
一方で、志望校を選ぶこと、そしてその先の未来を見越した選択は容易なことではありません。まず、最初の大切なステップである高校入試制度の仕組みを早めに把握することで、選択肢の幅が広がり、可能性がより多く開かれることにつながります。
入試制度は、複雑で難しく感じられることもあるかもしれませんが、少しずつ理解を深め、段階的に準備を進めることで志望校合格への道を開いていきましょう。
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